第7章 ヴェザリウス



 アンドレアス・ヴェザリウス(1514~1564)はパリ大学医学部で学んだ後にパドヴァ大学にて外科と解剖学の講師を務め、『人間の体の構造』を出版した。その後にカール5世の侍医となり外科医として活躍したが、エルサレム巡礼中に49歳の若さで没した。
 ヴェザリウスは、教授たちが壇上から教科書片手に指図し、実際の解剖は専門の執刀者が行うという従来の伝統を覆し、解剖学者自身が手を動かして解剖するという新たな方法をもたらした。さらに実際に観察することにより、当時医学の主流であった古代ローマの医師ガレノスによる説の誤りを200ヶ所訂正した。

15. ヴェザリウス『人間の身体の構造』

Andreas Vesalius: De humani corporis fabrica libri septem
Basilea, 1555
九州大学医学図書館所蔵 (WZ 240/V 575) 【 精細画像

ヴェザリウス1555

 『人間の体の構造』の細かな内容と、骨格人や筋肉人が様々なポーズをとっている見事な図は前代未聞のもので、医学のみならず美術分野にも大きな影響を与えた。
 木版画の作者には諸説あり、ルネッサンス期の著名な画家ティツィアーノだとも、その工房で働いていたヤン・ステファン・ファン・カルカールやドメニコ・カンパニョーラだとも言われる。



16. フォン・レベリング『アンドレアス・ヴェザールによる原型図の解剖学的解説』

Heinrich Palmatius von Leveling: Anatomische Erklärung der Original-Figuren von Andreas Vesal: samt einer Anwendung der Winslowischen Zergliederungslehre in sieben Büchern.
Ingolstadt, 1783
九州大学医学図書館所蔵 (QS/L 657/1783)【 精細画像

レベリング

 フォン・レベリング(1742-1798)はインゴルシュタット(ドイツ)の解剖学教授であった。本書で彼は、ヴェザリウスによる『人間の身体の構造』の図版と、パリで教鞭をとっていたデンマークの解剖学者ヤコブ・ウィンスロー(1669-1760)の解剖学を解説している。





参考資料

鈴木秀子. アンドレアス・ヴェサリウス『人体の構造についての七つの書 』. 明治大学図書館紀要, 2000, 4, p.90-118.

鈴木晃仁. 医学史とはどんな学問か 第4章 ルネサンスと解剖学の発展 1500-1600. けいそうビブリオフィル.


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