第3章 温泉治療学



【温泉治療学研究所欧州鉱泉・温泉資料】

 昭和6年に九州大学の附置施設として別府に開設された温泉治療学研究所において蒐集されたヨーロッパの鉱泉・温泉に関する古医書群。
 ドイツ、オーストリア、ハンガリー、スイス、フランスなどの鉱泉・温泉関連の本コレクションに含まれる書物の多くはヨーロッパでも分散した形で数カ所に残っているだけであり、類似の資料群は、国内外を問わず極めて稀である。平成19年に全ての資料が、別府から医学図書館の貴重図書コレクションに移された。
 温泉治療学研究所の初代所長は、哺乳動物心臓の電気的刺激伝導路の発見者として世界的に有名な田原淳(たわら すなお)教授であった。彼の指揮の下で、最新の雑誌や専門書とともにヨーロッパの鉱泉・温泉に関する歴史的資料の収集が行われた。

数量:単行本211冊(洋書)
収集時期:昭和初期
旧所蔵場所:温泉治療学研究所(別府市)

4. ジュンティ『温泉について』

Tomaso Giunti: De balneis omnia quæ extant apud Græcos, Latinos, et Arabas.
Venetia, 1553
九州大学医学図書館所蔵 (温水/27-98)【 精細画像

温泉について

イタリア人ジュンティ(Tommaso Giunti [Giunta], 1494~1566)によるヒポクラテス、アリストテレス、ガレノス、ケルスス、イブン・シナなど約70名の著作からの抜粋。16世紀における温泉・鉱泉論の集大成。



5. カルディルキウス『鉱泉及び徴の治療術』

Johannes Hiskias Cardilucius: Artzneyische Wasser- und Signatur-Kunst, oder, Beschreibung der fürnehmsten teutschen Saur- und Gesundheit-Brunnen.
Nürnberg, 1680
九州大学医学図書館所蔵 (温水/27-89)【 書誌情報

鉱泉及び徴の治療術

占星術と化学を医療に取り入れたドイツ人錬金術師・医師カルディルキウス (Johann Hiskias Cardilucius, 1630~1697)がドイツ国内の最も有名な鉱泉及び温泉、その治療法と功能を論じている。本の第2部は、薬草の形態と象徴に関するパラケルスス流概論。




参考資料

ヴォルフガング・ミヒェル. 24温泉治療学研究所 欧州鉱泉・温泉資料. 九州大学百年の宝物, 2011, p58-59.


サイト内検索