第8章 岩熊哲旧蔵(杏仁医館文庫)

 

【岩熊哲旧蔵(杏仁医館文庫)】

  岩熊哲(1899-1943)は、九州帝国大学医学部に入学、昭和2年(1927)に卒業した。福智山山麓杏仁医館で診療に従事する傍ら医史学研究に没頭し、『医史学論考』等を著した。岩熊の蔵書は「杏仁医館文庫」として解剖学教室が購入し現在は医学図書館に保管されている。そのうち久保旧蔵書は、『公氏医宗玉海』、『眼科錦嚢』、『阿蘭陀外科明備』がある。生前に久保旧蔵書の散逸を嘆いており売立の際に入手したものと思われる。   

コンラディ『公氏医宗玉海』児玉順蔵訳

(蘭) 公樂地著, 兒玉順藏重譯 : 公氏醫宗玉海
大坂 , 萬延1 [1860]
九州大学医学図書館所蔵 【杏仁醫館文庫 /Ko 18】  【 所蔵情報

公氏医宗玉海
公氏医宗玉海

 本書はドイツ人医師Conradi, Johann Wilhelm Heinrich(1780-1861)の書の オランダ語訳本をさらに和訳したもの。相当冊数の予定で開版にとりかかったが、 実際出版されたのは第一帙の1-3巻の3冊のみである。内容は病学、医学各論。
 訳者の児玉順蔵(1805-1861)は、備前岡山の人。号は在中。長崎でシーボルトに学び、備中矢田村(岡山県真備町)で開業。帰国の途中、筑前国鞍手郡高野村の医師武谷元立の家に立ち寄った。乞われるまま同家に3年間滞在して蘭学を教えのち帰郷し岡山藩家老の侍医となる。晩年は大坂にうつり、緒方洪庵と親交をもった。

 


 

 

 

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