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第4章 蒐集資料
【蒐集資料】
久保は蔵書家としても知られていた。その数は、洋書2164部、和漢書4162部、古書6378冊、別刷4052冊に及んだといわれる。生前に目録も作成されたようだが、残念ながら現在のところ発見されていないため、その蔵書の全体像を知ることはできない。個人蔵書は没後売立により散逸したが、泌尿器科教室の主任教授高木繁や岩熊哲ら久保を慕う関係者により一部の図書が購入されている。久保が耳鼻咽喉科教室に構築した蔵書の多くは、日本初の医学博物館である久保記念館に残されている。
久保は久保記念館の概要を著した小冊子に次のような序文を寄せている。 「今の教育は伝統を軽視し、感化を疎外する弊がある。いくら頭脳がよくっても、物識りでも人間として真摯なる所、偉大な所がなければ国家の為になることは甚だ少い。古人苦心の跡を見て憤激し故人の遺品に対して感銘するということは現代教育の欠点を補うに最も必要なことと思う。」 最新の医療技術や設備を取り入れることを重視しながらも、医学史をおろそかにせず先人の偉業を尊重する姿勢がうかがえる。