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法医学教室
開設:明治39年(1906)4月23日
初代教授:高山正雄(在任期間:1906~1931)
高山正雄は、毒物学ならびに物体鑑識学に造詣が深く、血痕検査法としての高山氏ヘモクロモーゲン結晶形成試薬は内外の法医学成書に記載され、昭和40年代頃まで実地に使用された。高山教授による「逆指紋」の発見も有名である。これは大正6年(1917)2月、ドイツ軍将校捕虜の夫人が強盗に殺害された事件で、現場の襖に見出された血痕指紋が指頭隆線の凹部に残った血液によって通常とは逆に印象された、「逆指紋」であることを立証したものである。
また、高山は刀剣の愛好家でもあり、研究室に数振の愛刀を置いていたほか、人から鑑定を頼まれて預かっていた刀もあった。しかし大正14年(1925)9月9日の医学部火災で法医学教室は全焼し、これらの刀も失われてしまったという。
法医学教室旧蔵の和漢書は主に大正~昭和初期に購入されており、御成敗式目や徳川刑制等、法制史に関する資料も含まれる。また、シーボルト「Nippon」を大正15年(1926)に3,000円で購入している。
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高山正雄
(1914年卒業記念アルバムより) -
三及ビ六ノ組実習(1914年6月10日)
(1915年卒業記念杏華帖より)
参考文献
- 「法医教室焼跡に銘刀を探す中山博士-高山博士に鑑定を請うたもの」『福岡日日新聞』1925.9.11
旧蔵コレクション
1. 刑罪大秘録(けいざいだいひろく)
天保6 [1835]写
九州大学医学図書館所蔵(法医学/Ke 29)【 精細画像 】
2. 増修無寃録諺解(ぞうしゅうむえんろくげんかい)
朝鮮刊本
九州大学医学図書館所蔵(法医学/Mu 16)【 精細画像 】
東洋における法医学は中国に始まり、1247年に刊行された宋慈による『洗冤集録(洗冤録)』は,法医学書としては世界最古とされる。 元の王与が1308年に『洗冤録』『平冤録』及び『結案程式』を合わせて編集したものが『無冤録』である。これが朝鮮に渡り、増補修正が加えられ、さらにハングルによる解説が付され『増修無冤録諺解』として1792年に刊行された。日本では、河合尚久が重要な箇所のみを抜粋し、訓読・翻訳をして、明和5年(1768)に『無冤録述』の題名で刊行した。自殺体と自殺に見せかけた他殺体との見分け方などについて詳細な記述がある。
表紙裏に「医学士三木栄氏寄贈 昭和四年十二月 謹呈高山先生 御机下 三木栄」と書き入れあり。三木栄(1903-1992)は、九州帝国大学卒で朝鮮医学史研究者。
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