支子文庫692冊をデジタル公開しました

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 中央図書館所蔵の支子文庫692冊を九大コレクションでデジタル化公開しました。
 支子文庫は、旧制福岡高等学校及び九州大学教養部の教授をつとめた国文学者・田村専一郎(1887~1975)が、家産と俸給の大部分を注いで蒐集した、国文国史関係図書約1万冊からなる文庫です。田村は、戦前の福岡では春日政治と並ぶ蔵書家として知られ、蔵書中、現存最古の『大和物語』は重要文化財に指定されています。
 今回は、支子文庫中から国文国史関係の和本を中心に公開し、ややまとまったものとしては、筑前の国学者山路重固の旧蔵書・自筆本を中心とする山路家旧蔵書が含まれております。また、支子文庫の主な貴重書については、国書データベースよりモノクロで公開されていますが、今回新たにカラーで公開したものも含みます。
 支子文庫本には、田村自筆のメモが随所に残されており、古書店や古道具屋などで貴重書を発掘したその鑑識眼を窺うことができます。今年2025年は田村専一郎没後50年であり、膨大なコレクションを残したその業績を振り返ることができればと思います。

資料一覧

九大コレクション > 貴重資料 >支子文庫
※デジタル画像は本文ありをチェック

 

六韜』『三略』 慶長五年(1600)
 中国の兵法書。木活字で印刷された所謂伏見版。特に支子文庫『六韜』の慶長五年版は他に所蔵が確認されておらず、天下の孤本とされる。

松年帖
 室町から明治時代までの連歌師、俳人、国学者、儒学者、画家等の短冊144枚を一冊の折本に収納したもので、裏面には田村専一郎による作者名や作者についての説明が貼付されている。真贋については不明だが、田村の蒐集・整理のあり方を示すものとしても興味深い。同様に、和歌切・古筆切や古文書などを取り混ぜて仕立てられた折帖として『汲古帖』がある。

支子文庫・田村専一郎関連展示

田村が蒐集した浮世絵のコレクションは北九州市立美術館に収蔵されており、現在下記の展示が開催されています。
・北九州市立自然史・歴史博物館(いのちのたび博物館)
特別展「「べらぼう」におもしろい印刷展
会期:2025年10月11日(土)~12月7日(日)
※田村が蒐集した浮世絵と、古活字版『枕草子』をはじめとする支子文庫本が併せて展示されています。

・北九州市立美術館
コレクション展Ⅱ「特集 版元からみる浮世絵の名品
会期:2025年10月4日(土)~2026年1月18日(日)
 

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参考文献

田村隆「支子文庫」(『九州大学百年の宝物』丸善プラネット,2011)
故田村専一郎先生旧蔵「支子文庫」報告」(『語文研究』43,1977)

 当デジタル化は、日本学術振興会大学教育再生戦略推進費「デジタルと掛けるダブルメジャー大学院教育構築事業~Xプログラム~」の採択事業である「ウェル・ビーイングの実現に貢献する高度人文情報人材養成プログラム:人文学×データサイエンスによる「人文情報学」大学院の設置」、国文学研究資料館「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」及び「データ駆動による課題解決型人文学の創成プロジェクト」等により実施しました。


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