『都府楼図巻』(蓑虫山人筆)の全体画像と高精細画像を公開しました

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『都府樓圖巻』(蓑虫山人筆)
https://hdl.handle.net/2324/1445922

 当館所蔵『都府楼図巻』の絵巻全体を接合した画像1点と高精細画像5点を公開しました。これにより、太宰府天満宮近辺から水城・博多湾遠景まで広がる本図の雄大な描写がわかりやすくなり、また、図中の小さな文字が判読しやすくなりました。高精細画像については、九州歴史資料館様よりご提供いただきました。(展示会開催時に本学資料を貸出)

絵巻全体を接合した画像 (横幅30,000px)

絵巻全体を接合した画像

 これらの画像はパブリックドメインですので、事前の利用申請をすることなく、無償で、改変・商用利用も含めた自由な利用が可能です。ぜひご活用ください。

 本図は、古代大宰府の情景を想像して描かれた幅8mを超える絵巻物です。10年前に電子化のために調査した際、落款印の「東飄西泊」「六十六庵主人」により、放浪の絵師として知られる蓑虫山人(1836~1900)の筆によるものであることが判明しました。蓑虫山人は、生活用具一式をテントのようなもので背負い、幕末から明治にかけて全国を旅した漂泊の絵師です。九州にも幕末に旅しており、廃仏毀釈や近代化で失われる以前の景色を描いた作品を残しています。今年は蓑虫山人没後120周年の節目であり、秋田県立博物館、岐阜県安八町歴史民俗資料館で展示会が開催され、評伝『蓑虫放浪』(望月昭秀著、田附勝写真、国書刊行会)も刊行されるなど、その自由で独創的な生き方も含めて再評価されています。
 本図はこれまで何らかの原本があることを想定した模本とされてきました。しかし、蓑虫山人には、失われた遺跡や名所を保存・顕彰するために描いた作品も多数残されており、本図もそうした「作品」の一つである可能性があります。今回の高精細画像の公開により、全国に存在する蓑虫山人の作品との比較も容易になりますので、本図の新たな面白さが発見されることが期待されます。

参考文献

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