座談会「中村哲先生のスピリットを継承する」を開催しました

中央

令和4年3月13日、本学伊都キャンパスの中央図書館内きゅうとコモンズにて、「中村哲先生の志を次世代に継承する九大プロジェクト」主催の座談会「中村哲先生のスピリットを継承する」を開催しました。

写真1:座談会の様子

九州大学では、遠いアフガンの地で35年に渡り医療・水事業・農業に心血を注いでこられた故・中村哲医師(1946-2019. 九州大学医学部卒)の意志と仕事を次代に伝えるため、2021年3月に「中村哲先生の志を次世代に継承する九大プロジェクト」を立ち上げ、中村哲医師メモリアル・アーカイブ(展示スペース)、中村哲著述アーカイブ(デジタルアーカイブ)、中村哲記念講座(基幹教育総合科目)という三本柱の取組みをスタートさせました。

本座談会は、同プロジェクトの1年の節目の取組みとして、これまで氏の活動に直接的間接的に関わってこられた方々と、繋いでいく取り組みを始めたばかりの若い世代や本プロジェクトの教職員などが出会い、語り合い、さまざまな視点を分かち合う場として企画したものです。

中村先生亡き後も意志を引き継ぎ現地事業を継続するペシャワール会の方々をはじめ、元現地ワーカー、ご友人、氏を長年取材してきた報道関係者、そして氏の志を繋ぐ活動に取り組み始めた大学生の団体「哲縁会」と母校福岡高校の「ペシャワール班」のメンバー、授業という形で伝えていこうとしている教員、プロジェクトに関わる九州大学の教職員など、さまざまな年齢や立場、距離感で関わる方々約30名が参加しました。

写真2:座談会の様子

座談会の様子

会に先立ち、ペシャワール会の村上優会長からは、最近の現地事業についてご報告いただきました。深刻な旱魃と昨年8月の政変後の経済制裁により、アフガニスタンで非常にシビアな飢餓や餓死の状況が発生していること、その様々な困難の中でも、現地の医療・農業・用水路事業を継続していること、また現地PMSと一緒に緊急食糧支援を行っていることなど、「水は善人悪人を区別しない」という中村哲医師の言葉をモットーに、現地の人々の目線で活動が継続されている様子が語られました。詳細はペシャワール会Webページをご覧ください。

http://www.peshawar-pms.com/topics/20220216.html

4つのグループに分かれた座談の場では、それぞれのアプローチで、中村先生への理解を深めあう姿が見られました。
中村哲先生と活動や長い時間を共にした方々からは、先生と交わした対話のやり取りや、それぞれが見た等身大の姿を、中村先生に関する授業に取り組む先生方からは、授業の中で大切にしていることを、ほかの参加者と分かちあってくださいました。
中村先生を直接知らない自分たちがどうやって伝えていくのかを考えている、という学生からの問いかけに、若いあなた方が関心を持つきっかけとなった、何か共感するものがありましたか?と村上会長が問いを返す場面もありました。
報道の方々からは、「自身のことより現地事業のことを伝えて下さいと言われる気がする」、「中村先生や現地のことをよくわかっている人が伝えることも、直接会ったことのない現地のことも全く知らない若い世代の人が自分の言葉で同世代の人に伝えようとすることも、どちらも大切と思っている」というお話を聞くことができました。

写真3:中村哲先生のご友人、宮崎信義先生のミニトーク

中村哲先生のご友人、宮崎信義先生のミニトーク

会の終盤では、若い世代からよせられた質問のひとつ、「中村哲先生の学生時代について聞いてみたい」という要望に応え、大学時代からのご友人であり重度心身障害医療に携わってこられた久山療育園理事長の宮崎信義先生に、学生時代、そしてキリスト者としての中村先生についてミニトークをしていただきました。

中村先生の著作や映像をみると領域は違っても元気づけられる、そういうところは(自分と)みなさんと共通している、とお話をはじめられた宮崎先生。聖書を基礎とした、対象者(病者、障がい者、難民、困窮者)中心の医療を目指そう、そう語り合った学生の時代から、中村先生は「見栄や衒いでなく、当たり前のことをすればいいんだ」、「目の前に倒れている人を見過ごす人は、よほど変わっているんだと思う」と言っていたそうです。それが35年も続けば、そこにはたくさんの共感を生み、現地での医療や水の活動にもつながっていったのだろうと心に落ちる、とお話しくださいました。

それぞれの中村先生像や現地活動の現在、中村先生のことをどうやって伝えていくのか、志をつなげていくという事はどういうことなのか、など、短い時間の中ではとても語りつくすことはできませんでしたが、関わっている方々同士が出会う機会を涸らさないようにすることも、本プロジェクトの役割のひとつと再確認できる時間でした。

写真4:参加者へ感謝の意を述べる内藤敏也理事

参加者へ感謝の意を述べる内藤敏也理事(当時)

最後のあいさつで、内藤敏也理事(当時)は「中村哲先生の志を次世代に継承する九大プロジェクト」を代表して「中村先生を、偉人として後世に伝えていくというより、中村先生の行動、悩みも含めた考え、試行錯誤、そうしたものをきっかけに話し合い、さまざまな思いを交わしていくことこそが、これから私どもが目指さなければならないことと思った」 と感想を述べ、記念講座、中村哲医師メモリアルアーカイブ、中村哲著述アーカイブの三本柱の事業をさらにすすめながら、中村先生に関わるさまざまな活動をつなげるハブとして九大が役に立てれば、と参加者やプロジェクト関係者への感謝の意を伝えました。

※この座談会の記録は、後日中村哲著述アーカイブからご覧いただけます。

写真5:中村哲医師メモリアルアーカイブリーフレット写真6:中村哲医師メモリアルアーカイブリーフレット

中村哲医師メモリアルアーカイブリーフレット(英語版)

会場となったきゅうとコモンズの中にある中村哲医師メモリアルアーカイブには、ペシャワール会PMS支援室、九州大学芸術工学研究院、九州大学広報本部サイエンスコミュニケーターの協力のもと、2月末に完成したばかりの英語版リーフレットを置いています。
中央図書館にいらした際には、ぜひお立ち寄りください。

(参考)
「中村哲先生の志を次世代に継承する九大プロジェクト」
https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/pj_nakamuratetsu
Twitter:https://twitter.com/pj_nakamura

「中村哲著述アーカイブ」
https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/nakamuratetsu
※ 3/25より石風社発行の中村医師著書本文(一部)を公開中

中村哲記念講座TAのnote
https://note.com/dr_nakamura
※ (番外編)として、座談会に参加した学生の感想を公開中

(お問い合わせ)
「中村哲先生の志を次世代に継承する九大プロジェクト」事務局
MAIL:pj_nakamura@jimu.kyushu-u.ac.jp (電話)092-802-6246
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