故馬場典明名誉教授のご遺稿を公開しました

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2018年2月5日に86歳で逝去された馬場典明九州大学名誉教授(西洋史学)のご遺稿を九州大学学術情報リポジトリで公開しました。なお、本日11月30日は故馬場先生のお誕生日です。

馬場典明著『ローマ大土地所有制研究』
http://hdl.handle.net/2324/4103493

馬場先生
 

故馬場典明先生は、1950年に九州大学文学部に入学され、1954年同学部史学科卒業、その後大学院修士課程および博士課程に進学され、1962年に同課程単位取得退学されています。そして1967年に九州大学教養部に助教授として着任され、1974年に教授に昇任、1984年には文学博士の学位を取得された後、1994年に教養部が廃止されるまで同部で教鞭を取られました。またその間、本学西洋史学研究室の指導教員の一員として文学部の発展にもご尽力されました。

1995年3月に本学を退官されてからも精力的に研究を続けられ、それまでに発表した数多の論文の大部分を書き直され、ご自身のローマ社会経済史研究の集大成として2006年に本稿におまとめになりました。例として、本稿第一部の初出は1973年に書かれた本学紀要『史淵』掲載論文「《OPVS DOLIARE》考 : 帝政初・中期に於けるローマ工業と大土地所有性(其之一)」であり、第三部第四章第三節の初出は2003年に書かれた別府大学紀要掲載論文『1世紀末・2世紀初のイタリア=ウィラに於ける奴隷制と小作制 : プリーニウス(小)『書簡』の検討』となっています。

本稿は馬場先生のご生前には、厳しい学術出版状況の故に刊行されることはできませんでした。ご逝去の後も現在に至るまで上梓の機を得られていなかったため、ご遺族のご了解のもと、お弟子筋の山本晴樹別府大学名誉教授の手を経て、本学リポジトリにて公開の運びとなりました。また、本学大学院人文科学研究院の岡崎敦教授にも長期にわたり調整の便を図っていただきました。両教授のご尽力に感謝の意を表します。

なお、本学リポジトリで確認できる馬場先生の最も古い著述は、戦後復興間もない1953年9月10日付け『九州大学新聞』341号の掲載記事です。タイトルに「ネロの人間像に期待 歴史学徒の立場から」、肩書に「九大西洋史学研究生」とあり、馬場先生は当時21歳の学生でした。内容は同年の公開映画「クォ・ヴァディス」の紹介ですが、すでに「大土地所有」の記述があり、馬場先生がその後65年の歳月をかけて追求した古代ローマの同制度に対する一貫とした問題意識を垣間見ることができます。