金平亮三

金平亮三金平亮三先生(1882~1948)は、東京帝国大学を卒業後、台湾総督府技師となり、同府林業試験所、中央研究所林業部長などを歴任、1928年(昭和3年)九州帝国大学農学部林学第二講座の教授として迎えられました。組織構造の形状に基づく樹種同定や、有用樹木資源の調査研究に取り組みました。九州大学には、南洋(東南アジア、ミクロネシア、ニューギニアなど)各地域から採取した植物標本や、世界各国から交換などで収集された樹木材鑑などが保管されています。絵師による優れた植物画が付された台湾樹木や熱帯有用樹木の植物誌は、現在でも高く評価されています。

金平コレクション

金平先生が採集・収集したさく葉標本、果実標本、材鑑標本などは、「金平コレクション」として農学部標本室に収蔵されています。また、木材組織のプレパラート標本も、農学部の研究室に保管・活用されています。これらの情報は、総合研究博物館や農学部によりデータベース化がすすめられています。

標本

  • さく葉標本

    さく葉標本

  • 材鑑標本

    材鑑標本

南洋諸島への出張記録

九州大学文書館では、九州大学における歴代研究者等の出張記録を保管しており、海外との学術交流を語る上でも貴重な資料となっています。ここでは、昭和4(1929)年「教授金平亮三南洋庁植物調査事務委託の件回答」のほか、金平先生の出張記録をご紹介します。

金平先生は、台湾時代から木材の解剖学的性質と熱帯植物を研究課題としていました。九大に移ってからは、それまでの台湾に加え、南洋諸島やニューギニアにもフィールドを拡大し、たびたびこれらの地域に渡航して調査を行いました。南洋諸島については、昭和4(1929)年から昭和7(1932)年まで毎年調査を行い、植物採集を行いました。その成果は多数の写真・図版とともに『南洋群島植物誌』としてまとめられ、1933年に南洋庁から出版されています。

教育掛図

「教育掛図」とは、図画が描かれた大型の用紙が掛軸状に表装されたもので、教室の壁面や黒板に掛けて使われた視覚教材です。移転のさい、農学部の研究室から複数発見され、現在は博物館が収蔵し、調査をすすめています。今回は、金平先生の研究室に残されていた、植物分布図三点をご紹介します(九州大学総合研究博物館所蔵 植物関連資料)

「双羽柿科植物分布図」は、ラワン材で知られる「フタバガキ科」の分布を示す地図です。アメリカの論文報告に掲載されていた図をもとに、翻訳・改変・着色されています。金平先生による「熱帯有用植物誌」(大正15年、南洋協会台灣支部)にも、ほとんど同じ図が掲載されています。
金平先生は、台湾総督府着任後まもなくフィリピンをはじめとする南洋群島の視察に派遣されています。その出張報告『南洋群島視察復命書』(1914)の中で、フタバガキ科植物の有用性を強調しています。

国際文庫

九州帝国大学内に設置された国際文化事業団体である九州国際文化協会(1939~1943)が蒐集した、第二次大戦時における極東地域の政治・外交・文化にまたがる資料です。その中の写真資料は、同協会主催で昭和15年2月に玉屋で開催された新興アジア文化写真展覧会において展示された写真184枚が中心で、当時の本学教員がアジア太平洋地域で撮影した文化的写真(学術、記録、風景、風俗等)を集めたもので、金平先生が撮影された写真も含まれています。

著作一覧

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参考文献