FAQ_old_2016

【オープンアクセス方針および実施要領について】

No
質問
回答
1

オープンアクセスとはなんですか。

オープンアクセスとは、雑誌論文等についてインターネット上で無料で読めることを含めた自由な利用ができるという状態のことを指しています。オープンアクセスを実現する方法には一般に以下の2種類があり、機関リポジトリはそのひとつです。

・オープンアクセスジャーナル(「ゴールドオープンアクセス」と呼ばれます)
購読料が必要ない無料のジャーナルのことです。著者がオープンアクセスジャーナルに論文を投稿すれば、その論文は出版後すぐにオープンアクセスになりますが、論文掲載時に著者が掲載料(Article Processing Charge)を支払う必要がある場合が多いのが難点です。掲載料の価格はジャーナルによって異なりますが、平均で2000~3000ドル程度と見られています。

・セルフアーカイブ(「グリーンオープンアクセス」と呼ばれます)
オープンアクセスジャーナルではない学術雑誌に投稿した論文のファイルを、著者が自分でインターネット上で公開(アーカイブ)することです。公開にあたってAPCのような著者の経済的負担が必要ないのが利点ですが、(論文の著作権を保有する)出版社からは「公開可能な版(著者原稿 or 出版社版PDF)」と「公開禁止(エンバーゴ)期間」に関する制限が設けられていることが多いのが難点です。セルフアーカイブを行うウェブサイトには研究者個人のウェブサイトや分野リポジトリ(例:arXiv)などさまざまなものがあります。機関リポジトリはそのひとつで、大学等の研究機関が責任を持って運営していることが特徴です。

2 オープンアクセスが誕生した背景はなんですか。

オープンアクセスの誕生の背景は以下のとおりです。
・学術雑誌の高騰(シリアルズ・クライシス)
大手商業出版社が学術雑誌の価格を引き上げ、大学図書館の予算で雑誌の購読をキャンセルせざるを得なくなり、結果的に研究者が研究成果を自由に主体的に発表・収集できなくなった。
(1980年代から現在にかけて学術雑誌の価格は上がり続けている。)

・電子環境の発展と情報伝達の拡充
インターネットが普及し学術雑誌の電子ジャーナル化が促進されるなど、世界中に研究成果を公開できる環境が整った。(九州大学では、2006年より機関リポジトリとしてQIRの運営を行っている。)

3 QIRへの登録(オープンアクセスとすること)のメリットを教えてください。

【研究者個人にとってのメリット】
QIRに登録された研究成果は誰もが無料で利用することができ、紙媒体や出版社等の電子ジャーナルと比べ、格段にアクセスしやすくなります。そのため、可視性が向上し、被引用数の増加につながる可能性があります。

外部のサービスや研究者自身が管理するウェブサイト等と比較してすると、以下のメリットもあります。
・図書館が著作権の確認を行った上で、登録が許諾されている版を登録するため、研究成果の登録時の安全性が高い
・大学として責任を持って研究成果を保管し運用を行うため、運用基盤が安定している

【大学としてのメリット】
大学としては、教育・研究活動の成果を発信することで説明責任を果たすことになります。また、学術情報を一元的に管理することにより、学内外の研究者や学生などにとって、学術情報資源へのアクセシビリティが向上します。

リポジトリでの公開は本学教員の権利と考え、積極的に活用いただければと思います。

4 どういった経緯で、オープンアクセス方針を策定することになったのですか。

2014年から2015年にかけて、国内で以下のような動きがありました。

■内閣府報告書「我が国におけるオープンサイエンス推進のあり方について」
(2015/3/30)において、オープンサイエンスの重要性、必要性が示され、国際的動向への対応として以下の事項等を明示。
・公的資金による研究成果の利活用促進を拡大することを基本姿勢とする。
・各省庁、大学等がオープンサイエンスの実施方針及び実施計画を策定する。
http://www8.cao.go.jp/cstp/sonota/openscience/150330_openscience_summar…

■日本学術振興会が、科研費の助成を受けた研究論文のオープンアクセス化を推奨。
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/01_seido/08_openaccess/

■京都大学が「京都大学オープンアクセス方針」を採択。
http://www.kulib.kyoto-u.ac.jp/uploads/oapolicy.pdf

これらの状況を踏まえて、図書館にて本学での方針策定の必要があると考え、オープンアクセス方針の検討を2015年度より開始しました。

5 以前からQIR(機関リポジトリ)を活用してくださいと言われてましたが、どうしてさらにオープンアクセス方針を策定したのですか。 九州大学では2006年よりQIRを運用し、本学構成員の様々な研究成果のオープンアクセスを推進してきました。オープンアクセス方針は、本学教員による公的研究資金を用いた研究成果をQIRで公開していくという九州大学の姿勢を示すものです。
6 オープンアクセス方針実施要領の見方を教えてください。 四角で囲まれた太字の部分が「オープンアクセス方針」で、その下に記述されているものが、「方針」の当該項目を解説する実施要領にあたる部分です。
https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/ja/services/qir/oa_policy_guideline
7 オープンアクセス方針の登録対象となる資料はなんですか? 出版社、学協会、学内部局等が発行した出版物に掲載された、学術雑誌論文、
会議発表論文、紀要論文を対象にしています。CERN(欧州原子核研究機構)等の
国際的研究機関が公開する研究成果も対象に含まれます。 
8 QIRへの登録は教員の義務ですか? 義務ではありません。オープンアクセス方針では、公的研究資金による研究成果を教員の意思に基づきQIRへ登録することとしています。
9 施行開始日はいつですか。 2017年1月1日を施行開始日としています。2017年1月1日以降に出版された研究成果は、QIRへの登録をお願いします。
10 登録手続は、どのタイミングで行えばよいのでしょうか。論文が出版社に受理された段階でしょうか。それとも出版日でしょうか。 論文が出版された日以降、できるだけすみやかに手続をしてください。
11 施行以前の研究成果は、登録する必要がありますか。登録を希望することは可能ですか。 オープンアクセス方針では、教員の負担軽減も考慮し、施行以前の研究成果には方針を適用していません。もちろん、施行以前の研究成果を登録することは可能です。
12 出版社のポリシーにより、公開禁止(エンバーゴ)期間が存在する場合は、非公開申請を行ってよいですか。 出版社のポリシーにより公開禁止(エンバーゴ)期間が定められている場合は、リポジトリの公開制限機能を用いて指定した日まで公開を保留することが可能です。そのため、非公開申請を行わず、登録をお願いします。
13 一定期間後、出版社がインターネットで無料公開するものは、登録しなくてもよいですか。
(一定期間後に全掲載論文がオープンアクセスになるジャーナル)
長期的なアクセス保障や可視性の向上のため、リポジトリへ研究成果を提供することを推奨しております。
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投稿料(APC)を払えばオープンアクセスになるが、論文投稿時に、研究費からAPCを払ってオープンアクセスにする必要がありますか。払わずに非公開の申請を行ってもよいですか。

APCの費用負担を図書館で行っていますか。

非公開の申請をした上で、QIRへの登録手続きを行ってください。
APCを払ってオープンアクセスにする必要はありません。

図書館ではAPCの費用負担は行っておりません。

15 インターネット上に研究成果を公開することについて、著作権上の問題がないか不安です。 登録された研究成果について、出版社との間の著作権の確認は図書館が行い、公開が許諾されている版を公開します。公開が許諾されていない場合は、QIRへの登録のみ行い非公開とします。
16 特許関係の論文は登録に際して注意が必要ではないでしょうか。 論文に特許に関わる情報が含まれており、それらを公開することについて配慮が必要な場合は、非公開の申請を行ってください。なお、公開可能時期をお知らせいただければ、公開可能となった時点で公開させていただきます。
17 QIRに登録すると、プレプリントや著者最終稿の著作権は大学に移転しますか。 QIRに登録することで、研究成果の著作権が大学に移転することはありません。
18 非公開の申請はどのように行ったらよいでしょうか。 図書館webサイトのマイページにログインし、リポジトリ登録(セルフアーカイブ)の画面から、案内にしたがって非公開の理由を選択してください。
https://www.lib.kyushu-u.ac.jp/ja/services/qir/oa_policy_manual
19 公開後、非公開に変更したい場合は、どうしたらよいですか。

研究成果の公開の可否は、学術情報リポジトリ専門委員会が判断しますので、図書館へご連絡ください。

なお、非公開にした場合も、研究成果はリポジトリに保存します。 

20 非公開申請を行って非公開となったとき、メタデータだけ公開されるのでしょうか。 メタデータだけを公開します。本文データは公開しませんが、長期的な保存のために登録をお願いします。
21 オープンアクセス方針では、受理される直前の著者最終稿を登録するとのことですが、文系の場合は、受理された後に、誤字脱字のみならず、文章表現なども修正することがあります。
著者最終稿以外の版を登録することはできますか。
研究成果を提供する際の分かりやすさを考慮して、オープンアクセス方針実施要領では著者最終稿の提供を原則としておりますが、方針本文は「リポジトリ登録が許諾される著者最終稿等の適切な版」としており、著者最終稿に限定される訳ではありません。
分野等の実状に応じ、適切な版を登録してください。出版社版が公開可能であれば、そちらを公開します。
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内容に誤りがあるかもしれないため、QIRにプレプリントや著者最終稿を公開するのは不安です。

QIRに登録されているファイルが著者最終稿か出版社版か、わかるように表示されていますか。

出版社版を登録してもよいですか。

著者最終稿は査読を経て学術的な内容が確定しているため、公開による問題は生じないと考えられます。
プレプリントは、公開が適切でないと教員が判断する場合は、非公開の申請を行うことができます。
QIRに登録された研究成果に疑義が生じた場合は、学会や大学の決定を踏まえ、学術情報リポジトリ専門委員会が公開の可否を判断します。

QIRでは、著者最終稿か出版社版かが分かるよう、バージョンの表示をしています。

出版社のポリシーで許可されていれば、出版社版の登録は可能です。
どうしても著者最終稿の登録に不安がある場合は、非公開申請をしてください。

23 「大学単位」でのリポジトリは機能するか疑問です。基本的には国が学術領域の単位で議論すべきことだと考えます。なぜ、JSPSやJSTが主導しないのでしょうか。物理学や数学ではすでに arXiv が役割を果たしていてるので必要性が全く感じられません。(単にarXivに載せることを義務とするだけで十分ではないでしょうか。)

長期的なアクセス保障や可視性の向上のため、教員の意思により研究成果をリポジトリに提供することを推奨します。
国際的なオープンアクセス推進のため、本学でも図書館がarXivの運営費を拠出して協力しており、多くの研究者による活用が望まれます。一方、このような外部のリポジトリが存在しない分野もあるため、各機関のリポジトリを活用する必要があります。

日本学術振興会や科学技術振興機構では、オープンアクセスについては推奨を表明するにとどまっています。また、主たるプラットフォームとしては研究者の所属機関のリポジトリが想定されています。

日本学術振興会(JSPS)
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/01_seido/08_openaccess/
科学技術振興機構(JST)
http://www.jst.go.jp/pr/intro/pdf/policy_openaccess.pdf

24 ResearchGate やarXiv、個人(あるいは所属学部)のホームページ等でのオープンアクセスは、既にかなりの教員が行っています。さらにQIRに登録するとなると、種々のバージョンが出回ってしまい、却って情報の分散や掲載内容の低下を招く恐れもあると考えます。
QIRにおいて、外部サービスへのリンクの登録を可能にすれば、QIRからのアクセスもでき、どこか一つのところへの投稿に集中できてよいと思います。
オープンアクセス方針には、本学の教育研究成果物を収集・保存・発信し、本学の研究活動について説明責任を果たす、という目的があります。
外部のサービスや研究者自身が管理するウェブサイト等では、長期的なアクセスが保障されない可能性があるため、QIRを活用することを推奨します。
QIRでは、PDFファイルを公開せず、外部のリポジトリへのリンクのみとすることは可能です。
25 オープンアクセス方針は、研究成果の登録は必ず行い、公開と非公開の設定を教員が行う、との解釈になるのでしょうか。
著作権や個人情報等の理由により非公開としたい成果でも、登録は必須でしょうか。
やむを得ない理由等により非公開を希望される場合も、恒久的な保存の観点から、研究成果は提供いただくことが望ましいと考えております。
26 オープンアクセス方針は、教員の手間が大きいと思います。
負担軽減のため、図書館が教員に公開させるべき研究成果のリストを作って、教員はその公開可否を回答するだけにしていただけないでしょうか。
入力時の負担軽減のため、大学評価情報システムへの登録データをリポジトリで活用する機能連携を検討中であり、研究成果のPDFファイルの登録や非公開の申請も同時に行うことができる仕組みを想定しています。
公開にあたっての著作権の確認は図書館が行います。
図書館で研究成果を網羅的に把握することは困難なため、研究成果リストを作成することは出来ません。

〒812-8581 福岡県福岡市東区箱崎 6-10-1
九州大学附属図書館 eリソースサービス室 リポジトリ係
TEL: 092-642-2342 Email: qir@jimu.kyushu-u.ac.jp

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